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心理カウンセラーのアドセンス日記

心療内科勤務の私がブログと言うものに手を出したらこうなる!と言うブログです(; ・`д・´)

心の話~「鬱病になったネコ」

主人公のネコの名前は「チッケル」

友人が飼っていた黒ネコのお話です。

家同士が隙間なく繋がる下町にある公園。

その公園に子供の姿はなく、時代に取り残された遊具、錆びついたブランコや整備のされていない砂場。

チッケルはいつもその公園で一番陽の当たる場所、青色のベンチの上で空を眺めていた。

家にはいつも陽が暮れてから帰ってくる。

 

ピッケルは子猫の頃、ヤンチャで遊んで欲しければ泣き喚き、挙句の果てには友人の顔に息をできなくさせるように覆いかぶさってみたり、新しい衣類なんかを見つけると一目散に口に加え「フガフガ」言いながらずーっとそれで遊んだりするネコだった。

 

友人の家はそんな下町にある一軒家。どちらかといえば古びた建物だ。

 

いつでもチッケルが出入りできるようにお風呂場の窓は開けてある。

 

いつの日かチッケルがディズニーのキャラクター「モンスターズインク」のマイク・ワゾウスキの人形を口に加えて帰ってきた。

誰かの落とし物だろう。落とし主どころかどこで拾ってきたのかすらわからない。

警察に届ける?いやマイクの人形はすでに五体満足ではなく、持ち主が捨てたのかもしれない。何よりその人形をチッケルの口からとろうとすると凄い形相で離すまいと友人の手を足で引っ掻き回すのだ。

 

「大好きなものがみつかった!」チッケルは大はしゃぎ!朝から晩までマイク人形を使ってバタバタと遊んでいた。

そんな事だからしばらくすると両手両腕が取れ、ゲゲゲの鬼太郎にでてくる妖怪「目玉おやじ」のようになっていて、口に加える遊びから手で転がして遊ぶくらい気に入ったものに執着するネコだった。

 

しかしそんなヤンチャなチッケルも食事やトイレ、爪とぎなどはキチッとしている。

特に友人がしつけたわけでもないのに、いつも決まった時間に餌をたべる、その時間以外は目の前に餌があっても絶対に食べない。その代わり決まった時間に餌がないととんでもなく怒り出す。

 

家に誰もいない時、家の中にもトイレが置かれていたがそのトイレが少しでも汚れていたらそこでは絶対しない。

 

爪とぎも普通のネコならしつけをされてなければ家の柱、爪がとげる場所ならどこでも爪とぎをするところだがチッケルはある一定の場所でしか爪をとがない。

そんなネコだった。

 

そうしてチッケルは変わらず成長しいつしか人間年齢で17歳、満1年を迎えた。

ちょうどその頃、ある日突然チッケルが家に戻らなくなった。

友人は心配し、何日もチッケルを探した。

チッケルが家に戻らなくなって一週間後・・・

チッケルは近所の公園で見つかった。いつもよりも増してすごい勢いで走るチッケルを友人の家族が見つけ後を追ってみた。

チッケルが居た場所、そこには見かけない雌ネコと生まれたばかりであろう子猫が2匹。

チッケルはいつの間にか父親になっていたのだ。

友人家族は話し合い、チッケルの新しい家族を家に招き入れることにした。

この判断が良かったのか悪かったのかは誰にもわからない。

しかしほおっておけばいつか誰かに見つかり保健所に連れていかれてしまっただろう。

新しい家族が一気に増えた友人宅。物が多くてネコ達にとって遊び場には最適な家だったであろう。

 

チッケルの奥さんである雌ネコに友人は「二コル」と言う名前をつけ、生まれてきた赤ちゃん二匹(2匹とも雄)にはそれぞれ「ソラ」と「キラ」と言う名前をつけた。

チッケルの性格だろう、ソラやキラ、二コルが決められた時間以外で何かを食べようとするととにかく怒った。

父親になってもそんな性格は変わらなかったが、チッケルはとにかく家族思いで餌を与えるとまず先にソラやキラ、二コルに食べさせ自分は三匹が食べ終えた後、餌を食べた。いつも4匹一緒にいて微笑ましい姿を何度も目にしたものである。

 

いつもうるさいくらいに鳴いていたチッケルと二コル、少し控えめなソラと父親似でマイクの人形を離さないキラ。

その頃にはチッケルがあれだけ執着していたマイク人形はチッケルからキラへ受け継がれていた。

 

そうして時は過ぎ、忘れもしない「2011年3月11日」そう、東日本大震災の日である。友人の家は千葉の海岸沿いにあった。

東北のニュースばかりであまり知られていないが震源地から遠く離れた千葉でも大津波で打撃をうけた場所がある。高さ7,6mもある大津波が友人宅にも襲い掛かった。

2階建ての友人宅は全壊こそしなかったものの、1階はほぼ崩壊状態。

玄関と窓が津波の圧で壊れ、家具は流され、とにかくメチャクチャな状態だったと言う。不幸中の幸いとでも言おうか2階は家具は倒れてはいたものの無事だった。

 

仕事場にいた友人がやっと家に帰るとチッケルとその子供たちは2階で寄り添うようにしていたという。

しかしそこに二コルの姿がない。余震のたびに家がきしむため友人は3匹を連れ高台にあった親戚の家に避難することになった。

チッケルの子供たちはそれ以来、少しでも揺れたり大きな音がすると押し入れに逃げ込むようになってしまった。

ソラとキラ、子供たちは通常一番、母親から愛情をうけなくてはいけない時期に母親「二コル」を失ってしまったのだ。

 

それから1年がすぎ周りも友人宅も少しづつ元の姿を取り戻しつつあった。

戻らないのは二コルといつも物音に怯えるソラとキラ。

そしてあの日以来、鳴かなくなってしまったチッケル。

ソラとキラは「揺れ」や「春」が来ると今でも「嘔吐」をしたり「外にでない」と言う。これは症状的に「PTSD」に違いないだろう。

ネコ相手ではカウンセリングも薬の処方もできない。

 

チッケルは昼間は家に戻らなくなった。陽が暮れると家に戻りいつものように子供たちの後に食事をする。そこには「二コル」の姿はない。

そしてまた朝が来ると必ず外へ行ってしまうチッケル。

 

いつか友人がチッケルを探しにいくとチッケルは公園にある青いベンチの上にいた。

友人が買い物の帰りに公園を通るとその日もチッケルは公園にある青いベンチの上にいた。

いつまでも、いつまでもチッケルは公園にある青いベンチの上で

きっと二コルの帰りを待っていたのだろうと私は思う。

 

そして震災から3年後2014年3月・・・

人間年齢約32歳と言う若さでチッケルはこの世を去ることになる。

 

震災以来「声をなくし」、毎日二コルの帰りを待っていたであろうチッケル。

 

最後は友人の胸で亡くなったのだが涙を流し最後に口を大きく開けたと言う。

 

声を出して鳴きたかったのだろう。隙間風のような声を出し力尽きていった。

 

特に病気をしたわけでもなかったチッケル。

 

私は過度の「ストレス」のよる急死ではないかと思っている。

 

チッケルはまじめで正義感が強かった。

 

様々な事に妥協をしなかった。

 

鬱病になるのは人間だけではないと私は思う。

 

最愛の妻を亡くし、声を失ったチッケルは最後に涙を流し大きく口をひろげた

 

この話を聞き私は涙が出た。

 

過度なストレスは人間にも大きな病気をもたらせたり死に至る事がある。

 

私がこの記事を通じて何を言いたかったかと言うと人間を含むすべての生き物には心がある。

 

 

心のない人間なんていない。

 

そして人間は想いを人に伝えようと思えば伝えることができる。

 

苦しかったら伝えてください。

 

そして青空をみて大きく口をあけ深呼吸してみてください。

 

1人で抱え込まないで。

 

この話を通じて心の病に苦しんでいる人や今、大変な思いをして頑張っている方へのメッセージとさせていただきます。